大きな注目を集めている松坂大輔 (c)朝日新聞社
大きな注目を集めている松坂大輔 (c)朝日新聞社
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 盛り上がっていると聞けば、やっぱりひと目見たくなるのが人間心理というものなのだろう。まさしく、人が人を呼ぶのだ。中日の沖縄・北谷キャンプが例年になく活気づいている。それは間違いなく“あの男”がいるからだ。

「お前、すごいじゃんって言ったら『いやぁ……。僕は普通ですよ』って。まあ、アイツは甲子園のときから、プロでも、メジャーでも、ずーっとそうなんだよな。みんながアイツを見て、すごく喜んでくれている。それって、うれしいことですよね」

 サブグラウンドで守備練習に取り組んでいた松坂大輔をネット裏から見つめながら、友利結・編成部国際渉外担当が松坂とのちょっとしたやりとりを明かしてくれた。松坂と友利氏との絆は強い。もはや、20年近い付き合いになる。

 松坂がドラフト1位で西武に入団した1999年、友利氏は西武移籍3年目だった。プロとしてのしきたりや心構えを教え込んでくれた友利氏を、若き松坂は慕った。2005年、友利氏はメジャーに挑戦。その夢は叶わなかったが、所属したのはレッドソックスの3Aだった。松坂はその2年後にレッドソックスへ移籍する。プロ10年目の2008年、メジャーで18勝3敗の好成績をマークした時、友利氏はレッドソックスの国際担当顧問兼巡回コーチを務めていた。

 そして、松坂のプロ20年目。友利氏が橋渡しをする形で松坂が中日にテスト入団。「あいつの1年目、10年目、そして20年目。やっぱり、縁があるんだなと思ったんだ」。その兄貴分でさえ、新天地・中日でのフィーバーに「すごいよ。他の選手もビックリしているみたい」と笑う。

 その言葉通り、松坂の行くところ、ファンが動く。報道陣も動く。カメラが追いかける。第2クール初日の2月7日は週の真ん中の水曜日。紅白戦や練習試合の実戦形式でもなく、どちらかといえば単調な日々の練習メニューとなるこの時期、どうしても集客面は“中だるみ”の頃なのだが、球団が発表した観客数は「3000人」だった。

 シーズン中の実数発表ではなく、球団広報の目算での数字なのだが、決して大げさでもなければ、盛り過ぎている感もない。間違いなく“それくらいの人たち”が、キャンプ地の北谷公園野球場に集結していたのだ。

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驚くべき松坂のネームバリュー