「息子よ」で始まるツイッターでの投稿が話題の作家・辻仁成さん。一人息子に愛情を伝えるため、毎日キッチンに立ち続けた辻さんだが、とうとう作家人生で初となる料理小説『エッグマン』を発表。そんな辻さんに、息子さんとの関係について話を伺った。
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――ツイッターが人気ですね。特に「息子よ」で始まるツイートは、「悩める息子へ向けた、人生の先輩である父親からのエール」といった内容で、毎回たくさんの「いいね」が集まってますが、まず、あのツイートについてお聞かせください。
息子は今13歳。あれこれ悩む年ごろです。父親として思うことを、息子へ向けた言葉というスタイルに置き換えてツイートしています。
とはいえ、実際の息子との会話は、「学校で手をあげても先生が指してくれないんだ」「差別か?」なんて笑い合ってる程度で、深刻な悩みという感じでもない。でも、その会話を元に人生のことや僕なりの悩みの解決策を短文にして投稿していたら、フォロワーの方々が「それ、まさに今自分も悩んでいたんこと」と言ってくれて(笑)。
実際、息子に言うようなちょっと厳しい口調のツイートもありますが、なんかそういうツイートの方が人気があって、みんな誰かに厳しく言われたいのかな(笑)。パリ在住の父ちゃんが人生相談に乗ってくれてる、みたいな感覚なのかもしれませんね。息子にというよりも、自分より年少のフォロワーのみなさんに向けて書いています。そもそも息子はパリ生まれのパリ育ちだから漢字が読めませんので(笑)。
――ツイッターで伝えたいことは?
心が折れてつらい、そんなときに立ち直る力を発信したい。特に若い人たちに。僕もまだ若かったころ、年上の人に言われた言葉で助けられたことがありました。考えがまとまらないとき、藁をも掴みたいとき、一つの言葉がその人の支えになる瞬間がある。言葉には力がある。そういうツイッターになるといいなと思っています。