さまざまな国籍の社員やインターンシップ生が働くオフィス。世界各地から優秀な人材が集まる
さまざまな国籍の社員やインターンシップ生が働くオフィス。世界各地から優秀な人材が集まる

 インターンの募集に世界約80カ国から年間約2千人もの応募者が殺到するIT企業が東京・渋谷にある。クラウドセキュリティー分野で国内市場シェア第1位を誇る株式会社HDEだ。同社はなぜそれほどまでに注目を集めるのか。「AERA English 2017 Autumn & Winter」(朝日新聞出版)で、代表取締役社長兼CTOの小椋一宏さんに聞いた。

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 企業向けセキュリティーサービスやソフトウェアなどを開発・提供しているHDE。同社の躍進の背景には社内公用語の英語化があると、小椋さんは語る。

「当社は、創業から十数年間は日本語オンリーの会社でした。しかし、急速に発展する最新のIT 技術にキャッチアップしていくには英語が必須となり、海外からも優秀な人材を採用する方向に舵を切ったのです」

 2014年に社内公用語の英語化を宣言し、16年10月に完全移行。公用語の英語化に向け、社員のために、セブ島への留学制度、スカイプ英会話レッスンを好きなだけ受けられる支援制度、TOEICを何度でも受験できる制度を全費用会社負担で創設した。さらに日本語を話せない外国人を順次受け入れ、業務で英語を使う環境をつくっていったという。

「13年冬から毎月1人をセブ島の語学学校に1カ月間留学させ、英語を毎日8時間学んでもらいました。英語に何となく抵抗がありそうな社員から順番に(笑)」(小椋さん)

 留学第1号は、クラウドプロダクト開発部長の箕浦賢一さん。英語を勉強するのは大学受験以来だった。

「マネジャーとして外国人との業務も英語でしなければいけない立場のため、留学後もスカイプ英会話で学習を継続しました。現在、私の部署の約50%が日本語を母語としないスタッフ。ミーティングも社内のチャットもすべて英語で行います」

 15年4 月に新卒で入社したソフトウェアエンジニアの土居俊也さんは内定後、入社前にセブ島に1カ月留学した。入社後は毎月TOEICを受けている。入社前に480点だったスコアは現在870点まで伸びた。土居さんは「会社で英語を使えることでモチベーションも続きます。目標は900点突破」と抱負を語る。会社全体のTOEIC平均点もこの2 年間で470 点から650 点に上がっているそうだ。

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