ロシアワールドカップ出場を決めた日本代表は10月6日に豊田でニュージーランドと、10日に横浜でハイチと親善試合を行う。ハリルホジッチ監督が「第三段階」と位置づける本大会に向けた準備のスタートとなるが、長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)、岡崎慎司(レスター/イングランド)、本田圭佑(パチューカ/メキシコ)といった経験豊富な常連選手たちが外れた一方で、注目された初選出は左サイドバックの車屋紳太郎(川崎)のみだった。
ハリルホジッチ監督は記者会見でこう述べた。
「まず、この合宿ではあまり出ていなかった選手に機会を与えたい。新しい選手をピッチに立たせることで、プレッシャー下でどのようにプレーできるか、メンタル的な状況もよりよく分かる」
ロシアに向けては「45人から50人の代表候補選手たちの競争を促したい」と語るハリルホジッチ監督は10月のホーム2試合、11月の欧州遠征2試合、そして12月のEAFF E-1フットボールチャンピオンシップ2017(旧名・東アジアカップ。以下E-1)の3試合という年内の3つのシリーズを1セットで考え、プランを立てているように思われる。
今回の2試合ではこれまで招集したものの、なかなか出番を与えられなかった選手のテストや、代表キャップ数の少ない選手の組み合わせを模索するだろう。そこで11月の欧州遠征に参加させる候補を見極め、今回は招集を見送った長谷部や岡崎を合流させたその時のベストメンバーで、世界屈指の強豪であるブラジルとベルギーに挑む。そして国際Aマッチデーに該当しないE-1でJリーグの有望選手をテストし、本番仕様のメンバーの絞り込みを進めるという流れだ。
例えばセンターバックの植田直通(鹿島)はアジア最終予選で何度も招集を受けながら、これまで一度も試合のピッチを踏めていない。彼と鹿島でコンビを組む昌子源とセットで起用するのも手だが、先を見据えれば、テストマッチという状況を考えて植田をディフェンスリーダーの吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)と組ませることも有効なテストになるはずだ。
その他にも、これまでアジア2次予選のアフガニスタン戦と、国際Aマッチではない2015年の東アジアカップ・中国戦に出場したのみのGK東口順昭(G大阪)や未出場の中村航輔(柏)、また前回のサウジアラビア戦で終盤に投入されたFW杉本健勇(C大阪)のスタメンでの起用、あるいは相手を追いかける状況を想定した2トップの採用といったシステムのオプションを試す可能性もある。吉田や経験豊富な長友佑都(インテル/イタリア)などは必ずしも招集の必要がなかった様にも思えるが、彼らの場合は経験の少ない選手との組み合わせや戦術の引き出しをチェックするために今回も呼んだと考えられる。