近代医学教育の原点となった「小島養生所」が、長崎に設立された1861年当時、医学を学びに他藩の医師が全国から集まった。150年以上が経過した現在も九州全域で「医」は熱を帯び、医学部受験に強い高校も林立している。週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』では、九州での「医学部に強い高校」に迫った。
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2017年の国公立大学医学部合格高校をランキングすると、トップ10 に久留米大附設(福岡)、ラ・サール(鹿児島)、熊本(熊本)がランクインする。この3校に昭和薬科大附(沖縄)、青雲(長崎)、修猷館(福岡)、宮崎西(宮崎)、鶴丸(鹿児島)を加えた8校がトップ40に入った。
私立大+防衛医科大(以下、私立大)の合格高校ランキングでトップ40に入ったのは、私立の久留米大附設、ラ・サール、青雲の3校。なかでも久留米大附設は、「開校以来、国公立大医学部の合格者数が最多です」と名和長泰教頭が笑顔を見せるように、九州大28人、長崎大13人、東大2人など国公立大に78人、私立大に53人が合格した。
「一学年200人とあまり多くないため、きめ細かに指導しています。16時から18時まで実施する高3の特別講座は選択制で、東大数学、九医英語などに分かれています。高3と希望する浪人生が年4回受ける記述式の校内模試は、教員全員で作問し、この模試の結果をもとに全員で成績検討会を行っています」(名和教頭)
ラ・サールは東大合格者数全国2位、国公立大医学部合格者数全国1位になったことがある名門校。17年も東大3人、九大9人など国公立大に77人が合格した。
「中学入試で算数の力がある生徒が入学するため、数学の進度は速い。55台のコンピューターを設置した理科館では、中1から多くの実験を行っています」(谷口哲生副校長)
寮があるため、学校説明会は東京、大阪、名古屋、福岡でも実施しており、全国から受験生が集まる。今年度は中高生合わせた1179人のうち九州出身者が923人で、鹿児島(463人)と福岡(275人)が特に多い。関東の生徒も92人いる。