「卒業生がいる全国の予備校を担任らが訪れ、食事をしながら情報交換をする『浪人激励会』も実施しています」(同)
県立トップ校の熊本は、国公立大医学部の合格者数が公立トップ、全国10位だ。進路指導主事の小坂和海教諭は、こう話す。
「医学部コースも医学部に特化した指導もありませんが、医師の子弟が多いためか、1年生のときには多い年は400人のうち約100人が医学部志望です。今年の高3生は約70人が医学部を目指しています。中身の濃い65分授業を行っており、授業のスピードは速いです」
同校では部活動、体育祭や文化祭などの行事にも力を入れている。「充実した高校生活を送りながら、第1志望校の合格を目指します。浪人したら、ほとんどの生徒が地元の『壺溪塾』に通い、第1志望にこだわります」(小坂教諭)
■病院やホスピスの見学、へき地医療の講習も
福岡県立のトップ校・修猷館は、1784(天明4)年に黒田藩の藩校として開館した歴史を持つ伝統校だ。昨年の国公立大合格者数から6人増えた33人が合格した。同校は、02年度の高2から、医学部志望者を対象とした「医進クラス」を設置した。毎年、希望者が30人から40人ぐらいいるという。
「医師には適性があるため、医師のやりがいと大変さなどを知ってから医師を目指してほしいという思いで始めました。医進クラスでは、現代医療の課題や医療倫理などを身につけるために学校独自の科目を設置しています。年4回、定期試験が終わった後の午後、九大病院の医療ボランティアに参加します。また、キャリアセミナーなどで、医師の話を聞く機会も年数回設けています」(岡本圭吾教頭)
修猷館とスポーツの定期戦を行うライバル校・福岡は、ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典東工大栄誉教授の母校。同校は今年の2年生から「医進クラス」を始めた。
「総合的な時間や放課後に、病院やホスピスなどを見学し、卒業生の医師などの医療スタッフから話を聞きます。また、卒業生の医学生を囲んでの座談会や医師の講演会も実施します。医療体験を通じて、医師の適性があるかどうか見極め、面接にも対応できるようにしたいと考えています」(花田亮二副校長)
※週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』から抜粋
(文/庄村敦子)