老け込んだ親の姿にハッとしたことはありませんか? そんな親のきもちや行動を、もしかしたら私たちは誤解しているかもしれません。大阪大学大学院教授で、老年行動学を専門とする佐藤眞一先生のやさしい文章と、まんが家・北川なつさんのマンガで、老いた親のきもちをわかりやすく解説した『マンガで笑ってほっこり 老いた親のきもちがわかる本』(朝日新聞出版)から、いくつかのアドバイスを紹介します。第1回は「薬を飲んでくれないので心配」です。
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病院へ行って診てもらっても、処方された薬を飲まなければ、体はしっかりと改善されません。親がどうしても薬を飲んでくれないとなると、途方に暮れてしまいますよね。どうして高齢者には、薬を拒む人が多いのでしょうか。
現在は医療が目まぐるしく発達し、効果が認められる新しい薬もどんどん開発されています。若い世代にとっては、薬は身近な存在で、具合が悪くなれば抵抗なくすぐに服用する人が多いことでしょう。
ですが、高齢者はちょっと違います。以前は、薬は貴重なもので、多くが自然由来でした。そのため、「多少具合が悪いくらいなら、薬を飲まずになんとかしよう」と思いがちなのです。さらに、病院で処方される現代の薬は、人工の化合物から作られているものが一般的で、高齢者の中には安全性を疑ってしまう人もいます。
親が薬を飲んでくれない時は、その薬が何に効くものなのかを丁寧に説明するとともに、安全であることを伝え、安心させてあげましょう。親の体のことをよく知ったうえで、安全な薬をすすめてくれているとわかれば、親のきもちも変わってくるはずです。
【Happyアドバイス】
親が薬を飲まないのは、現代の薬へのなじみが薄いから。昔とは違う、現代の薬事情を話してあげよう。