新しい選手が台頭してくれば、対戦した選手たちが「彼はこういうプレースタイルだ」「彼の武器はここで、こういうところが弱い」などの情報が瞬く間に広がる。逆に上位勢の不調が囁かれ出せば、挑戦者たちは自信を抱く。過去4連敗してきた錦織が相手ながら、バウティスタは「自分にチャンスがあると思っていた」とも言った。

 競った試合を勝ち切れず、それが自信喪失の理由になっていることは、錦織本人が誰より良く分かっている。「原因は、いろいろある」。そうも彼は言った。

 ケガにも苦しめられた欧州シリーズはウィンブルドン敗退とともに終わり、錦織のハードコートシリーズは、7月末のシティ・オープン(ワシントンDC)から始まる。最も得意とする戦いに向け、ここから先の3週間で原因を分析し、どれだけ充実した練習とトレーニングを積めるかに、後半戦の浮沈が掛かってくる。(文・内田暁)