中身がないから関心も集めないということなのかもしれないが、それを端的に示すのが、「規制改革実施計画」だ。実は、これも9日の閣議で決定されているのだが、これに触れた報道はほとんどなかった。

 そもそも、安倍政権になって、大きな「規制改革」の成果は何かと聞かれて、答えられる人は非常に少ないのではないだろうか。

 おそらく、唯一、多くの人が覚えているのは、「医薬品のネット販売解禁」くらいだろう。

 しかし、これも、実は大騒ぎされた割には、その規模は小さい。医薬品のうち8割から9割近くを占める処方薬が対象から外されているからである。これは、医薬業界からの反対を恐れたからだ。

 今回の骨太方針と同時に閣議決定された「規制改革実施計画」を見ても、はっきり言って、小物の寄せ集めで、大きなものは皆無だ。安倍総理お気に入りの「岩盤規制にドリルで穴を開ける」という言葉はどこに行ったのか。「爪楊枝でティッシュペーパーに穴を開ける」程度の話ばかりなのには本当にあきれてしまう。

●既得権に配慮してシェアリングエコノミーで致命的な出遅れ

 あれだけ観光立国、シェアリングエコノミー(インターネットを通じ、モノやサービスを個人間や企業で貸し借りする生活スタイル)、IoT(モノのインターネット)などと騒ぎ立てているのに、この分野でも、いざ各論になると既得権層の反対を恐れて何もできないのが、その典型だ。

 世界では、米国系と中国系のシェアリングエコノミーの分野での争いが激しくなっているが、日本では民泊の法整備がようやく今国会で成立したという段階。

 もたもたしている間に、米国のエアビーアンドビーの日本国内の利用者は5月末までの1年間で500万人に上り、これからはさらに合法的な登録物件が増える見通しだという(日経新聞)。

 中国からの来日客も中国系の民泊サービスを利用する比率が急速に高まっている。中国国内では、住百家(Zhubaijia)のようにすでに上場企業まであり、途家(Tujia)をはじめ、日本での営業を急拡大する企業も増えている。

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