マスコミの注目は6月9日、文部科学省による「総理のご意向文書」に関する追加調査決定のニュースに集まった。
この問題をめぐる攻防の第1ラウンドでは、官邸側は、森友学園の時同様、完全無視で押し通した。一時はこのままうやむやにされるのではないかという雰囲気も漂ったが、予想に反した展開となり、第2ラウンドで、官邸側が敗北という結果になったのである。
安倍一強体制の驕りで、世論を無視した「知らぬ存ぜぬ」路線を貫く現政権の横暴に対して、やっとメディアと国民が一矢を報いたという意味で、確かに重要なニュースだ。
大きく取り上げて、さらに、メディアが加計学園問題の本質に迫る調査報道をしてくれることに期待したいところである。
そして京都産業大学が今すぐ、政府の国家戦略特区の手続きに問題があったとして、再度獣医学部新設の申請を出したら、安倍政権はどうするだろうか。
加計学園の獣医学部ができれば獣医師の不足は見込まれない、あるいは、石破4条件に合致せずというような理由で却下するのであろうか。
京都産業大にはぜひ再チャレンジしてもらいたいものだ。
一方、このニュースにかき消される形で、本来は重要な意味がありながら、非常に小さな扱いしか受けなかったニュースもある。
その一つが、「骨太方針」の閣議決定である。正式には「経済財政運営と改革の基本方針2017 ~人材への投資を通じた生産性向上~」と題された44ページ(本文)の文書で、当面の政策課題と政府の取り組み、さらには中長期の発展に向けた政策運営の在り方も書かれている重要な文書である。この件は、翌日の新聞で財政再建問題については多少詳しく取り上げられたものの、テレビでの報道はほとんど行われなかったので、このことを知らない方も多いのではないだろうか。
さらに、この文書には、加計学園問題と極めて密接に関連する問題も含まれているのだが、その観点でこれを論じた報道は皆無だった。