腸閉塞のため入院中に受けた精密検査の結果、大腸がんであることがわかったフォークグループ「チューリップ」のメンバーで歌手の財津和夫氏(69)。国内で新たに大腸がんと診断された人は約13万人(2012年)で、20年間で2倍以上に増えている。日本人の食生活の欧米化や高齢化などがその原因と考えられるが、大腸がん検査の種類や流れについて週刊朝日ムック『大腸がんと診断されました』(朝日新聞出版)で専門医に聞いた。
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がん検診や人間ドックを受ける、または自覚症状がある場合、最初に受ける検査は「便潜血検査」だ。便の中に混じった血液を調べる検査で目に見えない少量の出血も確認できる。2日間の便を調べるのが一般的だ。
この検査で1日でも陽性となり、精密検査が必要と判定されるのは7%程度の人だ。しかし大腸がんと診断された人のうち、約3割は便潜血検査では陰性と診断されている。
都立駒込病院大腸外科部長の高橋慶一医師が言う。
「便潜血検査では陰性だったとしても、便秘や下痢をくり返す、便が細切れにしか出ない、便が一度に出きらない、便の表面にゼリーのような粘液がついているといった自覚症状があれば、内視鏡検査を受けることをおすすめします」
また、直腸がんの場合、「直腸指診」でがんが見つかるケースもある。肛門から直腸内に指を挿入し、腫瘍を見つける。病院によっては直腸指診を実施していない場合もあるが、症状があれば便潜血検査と同時に直腸指診も受けておきたい。