■腫瘍を直接観察する内視鏡検査
これらの検査で異常があれば内視鏡検査を受ける。過去に腹膜炎などを起こして大腸に癒着があり、内視鏡を入れられない場合などは、代わりに肛門からバリウムと空気を流し込んで撮影する「注腸造影検査」を実施する。
内視鏡検査は下剤で大腸内を空にしたうえで、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内側をモニターに映し出して調べる検査だ。腫瘍が見つかった場合、組織の一部を採取し、病理検査を実施して最終的に良性か悪性かを診断する。腫瘍が5ミリ~1センチの場合は内視鏡検査の延長でそのまま切除することもある。1センチを超える場合は、がんである可能性が3割程度あるので切除せずに病理検査の結果次第で治療法を決める。5ミリ以下の場合は良性の可能性が高いため、一般的には切除せず経過観察となる。
診断の精度が高い内視鏡検査だが、大腸は長さが1.5メートル程度あり、さらにひだがあって屈曲しているため見逃されるケースもある。内視鏡検査で異常が見つからなかった場合でも、1年に1度は便潜血検査を受けておくことが必要だ。
腫瘍が見つかり、病理検査で大腸がんであることが確定したら、転移の有無を調べるための「CT(コンピューター断層撮影)検査」や「MRI(磁気共鳴断層撮影)検査」、がんの位置や大きさを確認する「注腸造影検査」などでより詳しく調べていく。(取材・文/中寺暁子)
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