一年間安定した活躍を見せた大迫が、ブンデスの日本人選手では最も存在感を示した。(写真:Getty Images)
一年間安定した活躍を見せた大迫が、ブンデスの日本人選手では最も存在感を示した。(写真:Getty Images)

 足首の負傷や筋肉系のトラブルに見舞われた不運があったとはいえ、香川真司(ドルトムント)の今シーズンをポジティブに総括するのは難しい。ブンデスリーガで得たプレータイムは1258分。けがで後半戦をほぼ棒に振った加入1年目の2010-11シーズンより短く、自分よりピッチに立つ時間が長いチームメートが11人(フィールドプレーヤーのみ)も存在した。

 主力としてほぼフル稼働した昨シーズンと比較すれば、ゴール数(9→1)が激減しただけでなく、アシスト(9→6)も減っている。多くのチームメートがクラブとの契約を更新した一方で、香川の去就はシーズンが終えた今もなお不透明な状況のままだ。

 最終的にレギュラーの座に返り咲いたものの、けがで長欠したマリオ・ゲッツェとアンドレ・シュールレが復帰するうえ、有望株のマフムード・ダフード(ボルシア・メンヘングラードバッハ)が新加入する来季は、攻撃陣のポジション争いがさらに熾烈になる。そのドルトムントに残留し、シーズン終盤のように中軸として活躍を見せるようなら、2018年のロシア・ワールドカップに出場する可能性が高い日本代表にとっても頼もしい。

 香川とは対照的に、年間を通して輝きを放ったのが大迫勇也(ケルン)だ。開幕直後にレギュラーの座をがっちりと掴むと、膝のけがと扁桃炎で欠場した4試合を除く全30試合に出場し、チーム2位の7ゴール、チームトップの6アシストを記録。本職のFWだけでなく、トップ下や左右のウイング、時にはボランチも務める利便性を発揮し、主力の相次ぐ負傷離脱に頭を悩ませたペーター・シュテーガー監督の大きな助けになった。

 その安定感はケルンの中では群を抜いていた。MVP級の活躍を見せたのは25ゴールを量産したFWアントニー・モデストながら、その相棒の好機を幾度となく作り出したのは他ならぬ大迫で、バイエルンのような格上が相手でもパフォーマンスのレベルは落ちなかった。ヨーロッパリーグに参戦する来季、大迫の名は欧州中に知れ渡るかもしれない。

次のページ