今も昔も花形の職業の一つ、キャビンアテンダント(CA)。「大学ランキング」(朝日新聞出版)では、大学通信の協力を得て、10年間にわたり、CA採用者の出身大学ランキングを掲載している。最新刊「大学ランキング2018」から、ベスト30を紹介。教育ジャーナリストの小林哲夫さんがその傾向を解説する。
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関西の女子高校生のあいだで、「CAになるには、関西外国語大に入学するのがいい」という話が伝えられている。きのう今日の話ではない。「スチュワーデス」と呼ばれていた30年以上前から、CAへの近道として注目されてきたのが関西外国語大だ。
2016年の採用数は78人で1位。2012年から5年間の累計もトップの278人で、2位の青山学院大(222人)を大きく上回る。
中学、高校時代からCAにあこがれてきた学生が多く集まることで、キャンパスでは競争原理が働く。学生間でCAになるための最新の情報を交換できる。今年3月には航空業界の合同企業説明会が学内で開かれ、全日本空輸(ANA)グループの単独説明会だけで、約350人もの学生が詰めかけたという。こうした学生の意欲、教育環境により、関西外国語大は毎年のようにCA採用者トップを続けている。
これまでCA採用ランキングの上位校には、(1)ミッション系の大学、(2)女子学生が多い大学、(3)文学部英文科または外国語学部がある大学がズラリと並んでいた。関西外国語大、青山学院大のほか、明治学院大、上智大、フェリス女学院大、聖心女子大、白百合女子大、立教大などである。
しかし2010年代に入り、中央大、法政大、東海大、明治大、駒澤大、関西大などが上位を狙うようになった。これらの大学に女子学生が急増したことによる。そして、CAが男子にも広く開放されたことも大きい。
学習院女子大(17人、26位)は、大学の公式ホームページで「CA(客室乗務員)の実就職率が高い大学ランクで全国1位になりました!」と謳っている。これは、大学院進学者を除いた卒業生数に占めるCA採用者の比率で、学習院女子大は4.5%。2位は聖心女子大で4.2%だ。
ここ数年でCA採用者を増やしたのが神田外語大(19人、22位)である。もともと系列の専門学校、神田外語学院からCAになった学生が多く、その伝統、ノウハウが大学にも引き継がれたようだ。
ANAは、2016年度から19年度にかけてCAを毎年約1000人採用することになった。これによって、CA採用に力を入れる大学が増えるだろう。だが、それは進路支援上のことで、大学教育、カリキュラムでCA対策が採られることはない。実際、CAを養成する学科、コース、専攻はなく、大学はCA養成専門学校ではないという矜持を持っている。(教育ジャーナリスト・小林哲夫)
小林哲夫(こばやし・てつお)/1960年生まれ。教育ジャーナリスト。著書に『早慶MARCH』(朝日新書)、『高校紛争1969-1970 「闘争」の証言と歴史』(中公新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)など