上海国際サーキットのもうひとつの特徴は、ロングストレートがあることだ。ホームストレートよりも長いバックストレートは1170mにも及ぶ。これはアブダビの1140m、モンツァの1120mを凌いで20戦中最長を誇る。パワーユニットの継続全開時間は約17秒にものぼり、これはスパ・フランコルシャン・サーキットのオー・ルージュからケメルストレートエンドまでの23.5秒に次ぐ長さだ。
そのため、中国GPではオーストラリアGPよりもパワーユニットへ大きな負担がかかる。このことはいまだパワー不足に悩まされているホンダにとっては、厳しい現実となるだろう。そのことは、ホンダの長谷川祐介総責任者も認めている。
「メルボルンでは、パワーユニットに関してある程度の信頼性を確認することができましたが、パフォーマンスにおいてはまだ改善する余地があることは確かです。したがって、中国GPはさらに困難なグランプリになることが予想されます」
ただし、週末の上海は不安定な天候が予報されている。フリー走行が行われる金曜日は55%、決勝レースが行われる日曜日はなんと80%の降水確率となっている。
レーススタート時がウエットコンディションだった場合、これまではセーフティーカー先導によるローリングスタートとなっていたが、今年から路面を確認するためにセーフティーカー先導でフォーメーションラップが行われた後、コースコンディションが改善されて安全にレースができると判断された場合には、スターティンググリッドに全車が着き、一斉にスタートするスタンディングスタートにルールが変更されている。
ドライでもウエットでも、今年の中国GPは見所が多い一戦となることは間違いない。(文・尾張正博)