認知症のサポート態勢と相談窓口(週刊朝日ムック『すべてがわかる 認知症2016』より)
認知症のサポート態勢と相談窓口(週刊朝日ムック『すべてがわかる 認知症2016』より)
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 認知症になると、介護お金など、さまざまな問題がふりかかってくる。いざというときに慌てないためにも、認知症になる前からできる準備はしておきたい。週刊朝日ムック『すべてがわかる 認知症2016』で紹介した、認知症と診断されたら、まずは相談すべき窓口を特別に公開します。

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 認知症になっても困らないために、今のうちにできることはなにか。主任ケアマネジャーの渡辺孝行さんは「いざというときに相談できる窓口の存在を知っておくこと」と話す。

「まだ病院へ行くほどでもないけれど、最近なんとなく様子がおかしいというときに、誰に相談したらいいかわからないという方が少なくありません。わからないまま時間が経過して、症状が悪化することもあるのです」

 たとえば物忘れなど認知機能が低下してきた人への接し方がわからないまま家族が本人を否定し続けると、関係が悪化し、本人からの信用を失うことになりかねない。するといざ病院に連れて行きたくても拒否されてしまうことも。しかし事前の相談で家族の心構えなどの説明を受けていれば、本人の状態や気持ちを理解することができ、受診や介護の準備などがスムーズにいく可能性が高くなる。

 では、認知症に不安を感じたとき、本人や家族、周囲の人はどこに相談に行けばいいのか。

 地域における最初の相談窓口となるのが「地域包括支援センター」(名称は地域によってさまざま)だ。各市区町村に最低1カ所は設置されている。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが、地域に住む高齢者の総合的な相談から、要介護認定の申請、介護予防などの業務をおこなう。認知症の医療的な相談や検査を手がける「認知症疾患医療センター」や地域の専門医の紹介もする。

 一部の地域では、認知症の初期に迅速に対応する「認知症初期集中支援チーム」という事業が始まっている。医師や看護師などの専門職が一つのチームとなり、支援態勢を整える。2018年度までに全国の市区町村に設置を目指す。

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