しかし、公的な機関に相談に行くのに抵抗を感じることもある。そんなときに利用したいのが、気軽に参加できる認知症カフェや家族会だ。認知症カフェは認知症の人やその家族、地域住民、医療や介護の専門職が集う。一方、家族会は介護をしている人が集い、交流する場だ。

「認知症カフェや家族会は、基本的には認知症ではない人でも参加できます。こうした場に参加して知り合いを増やしておくと、いざというときにアドバイスを受けられるほか、専門職の人も出入りしているので介護保険などの手続きもスムーズにいきやすくなります」(渡辺さん)

 こうした場で地域の人たちとつながっておくことは、一人暮らしの場合の認知症早期発見にもつながる。特に頼れる家族もいない場合、認知症になった際の不安は大きく、事前の備えはより必要になる。認知症になる前にできる準備として、日常的な金銭管理、福祉サービスの手続きを援助してもらう「日常生活自立支援事業」や財産管理や介護、生活面での手配を代行してもらう「成年後見制度」がある。

 また、いざ認知症と診断されると介護保険制度の申請が必要だ。申請してからサービスが実行されるまでには手間と時間がかかる。スムーズに申請するためにも、事前に内容や条件を知っておきたい。(監修/中澤まゆみ、取材・文/中寺暁子)

※週刊朝日ムック『すべてがわかる 認知症2016』より

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