パッと見て「少ない!」と思った方もいるかもしれないが、これが18名登録の厳しさ。指揮官も悩ましいだろう。その中で鉄板の選考はGKの2名。センターバックもオーバーエイジの塩谷と軸として期待される植田は決まりで、もう1枠は負傷者の状況次第か。サイドバックはオーバーエイジの藤春が当確だが、他は流動的。ただ、亀川と室屋は左右双方をこなせる強みがあり、左のスペシャリストである藤春がすでに1枠を埋めていることを考えると、両方をこなせる彼らに分がありそうだ。
中盤はボランチが最激戦区。A代表の大島と遠藤の選出は確実だが、もう1枚は流動的。予選まで序列の高かった原川力(川崎F)は所属チームで出場機会に乏しいのがネック。井手口を推したが、右サイドバックもこなせる橋本拳人(FC東京)が大きく評価を上げており、ここは悩ましい。左右の攻撃的MF(サイドハーフ)は南野が当確。負傷から戻って来た中島は不安もあるが、チーム内得点王だけに外しがたいだろう。中盤の全ポジションをこなし、リズムを変える仕事のできる矢島も外せない。FWは現在交渉中のオーバーエイジから1名(仮に興梠と予想した)、浅野も当確だろう。久保は負傷の経過次第だが、順調ならメンバー入りすると見る。
ここまで予想してきたが、実はまだ1枠残っている。五輪の選手選考はこの1枠の使い方がミソだろう。考え方は大きく分けて二つあり、一つは複数ポジションをこなすマルチロール的な選手を入れること。もう一つは攻撃の切り札となるジョーカーを入れることだ。この選考だと高さのあるFWがいないのは不安要素なので、そこで1枚使うのがオーソドックスな選択かもしれない。ただ、一方でジョーカーになれて、なおかつマルチロールという選手もいるのではないか。個人的には、抜群のスピードとサイドバックからFWまでこなす幅広さを兼ね備える伊東純也(柏)を「18番目の男」に推したいのだが、いかがだろうか。
(文・川端暁彦)