「コートの特集をした時は、取り上げたコートの重さを量ってグラム数を掲載しました。もう、60代女性は重いものは着たがりませんから」(同)

 雑誌が売れているということは、60代女性のファッションへの関心が高いことにほかならない。

「そりゃ、そうですよ。今の女性たちは新しい大人世代。旧来型のシニア世代とは全く違う人たちです。おしゃれにも貪欲(どんよく)で、40代と同じ感覚では?と思うほどです。私は40代ですが、買うものが変わりませんから」(同)

 実は同じようなことが老舗の生活情報誌でも起きていた。

 1996年に50代以上の女性を対象に創刊され、00年代半ばに42万部まで部数を伸ばした「いきいき」。その後、部数が減り、16年に「ハルメク」と名前を変えたが盛り返せず、17年夏に編集体制を入れ替えたところ急反転し始めた。

 主婦と生活社からスカウトされた山岡朝子・現編集長が言う。

「私が入社した時はすでにハルメクでしたが、『シニア誌』の印象が強かった。私はもっと幅広いテーマができるのではと考え、そのためには『シニア誌』の枠組みを出て『女性誌』を作ればいいのでは、と思ったんです」

 山岡編集長には、今の50~70代女性はとても若々しいと映る。年齢を重ねたからといって、急におしゃれをしなくなったり、化粧や髪の毛がどうでもよくなったりはしない。グレーヘアがはやったように、むしろチャレンジできることが増えている……。

「女性誌と考えると、まずはファッションと美容のテーマに可能性が広がります。主婦の方が多いので、お料理やお片付けなどの実用記事も必要です。普通の女性誌がやっていることを切り口を変えてハルメク流にしていけば……と、アイデアが膨らんでいきました」

 編集長として作った第1号でファッションを特集したところ、効果はすぐに表れた。新聞広告を見た人からの定期購読の申し込みが急増したのだ(「ハルメク」は書店では販売されていない)。

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