「中身の品質はもちろん、ポンプの押しやすさにこだわり、ビフォア・アフターの顔写真を箱に載せるなど、簡単に美しくなりたいとする時短コスメに、ここまで本格的に取り組んできたのはウチぐらい」

 と胸を張るが、やはりマンネリ感が出てきていたという。そこへ「新・大人女子」の登場が重なった。

「バブル時代に20代を過ごした世代が50代後半になってきているんです。彼女たちは上の世代とは全く違います。例えば上の女性が『ありのままの美しさ』などと自然体を重視するのに対して、バブル世代は『もっと美しくなれる』『女らしいと言われたい』と積極的。働いている人も多く、上の世代とは美意識も違います」

 要するに、より派手になっているということだろう。プリオールは新たに40代の女優の常盤貴子をイメージキャラクターに起用、ターゲット世代の女性は悩みをカバーしたい一方で「厚塗り」をいやがることから、それらをすんなり解決できる点を強調するCMを流している。

 さすが女性の機微に通じた化粧品会社らしい変化への対応である。もっとも50代は肌の変化と気持ちのギャップで「化粧品を変えたがる時期」(畠山マネジャー)というから、そこでの囲い込みを狙う当然の戦略でもあるのだろう。

 変化に対応するあまり、60代や70代の上の世代の固定ファンが離れてしまっては元も子もないが、畠山マネジャーは、

「70代のお客さまは、減るどころか逆に増えています」

 これまでのイメージキャラクターである宮本信子(70代)と原田美枝子(60代)が「留任」し、常盤との3人体制でPRしていることが功を奏しているのだろうか。

 先の阪本所長はこう言う。

「仮に上の世代をキープしつつ下の世代にファンを広げることができれば、プリオールは一大ブランドに成長する可能性があります」

 商品だけでなく、大人女子向けに「場所」を提供する動きも出てきている。

 昨年12月にオープンした東京・渋谷の「東急プラザ渋谷」。「大人をたのしめる渋谷へ」をコンセプトに、おそらく日本で初めて40代後半~60代を主力顧客に掲げた都心部の商業施設だ。

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