近年、大学のトレンドの一つ学生寮についても比較しよう。地方からの学生や留学生を獲得するために、単なる下宿先ではなく、学生生活を充実させる施設という位置づけになってきているのだ。両大学ともその充実を図っている。

 慶應では17、18年と立て続けに学生寮をオープンしたばかりだ。日吉国際学生寮は日本人学生2人、留学生2人の4人が一組をつくり、それぞれが個室を持ちながら、一つのリビングを共有して生活するスタイルをとる。自然と留学生と交流ができ、国際感覚を磨くことができると人気だ。

 対する早稲田は「日本で一番学生寮を整備している」(レジデンスセンター担当者)。学生寮の定員数は約6千で、国内の大学で最大規模。

 特に注目は14年に設置された国際学生寮WISHだ。定員は872人。4人一組の中に留学生が必ず一人加わり、共同生活を送る。

 フィットネスルームや、グランドピアノが置かれた音楽室も利用でき、ガス・水道・電気・インターネット代込みで、寮費は5万3千円。卒業生や企業からの寄付でこの寮費を実現しているそうだ。

 また、社会人基礎力を養うための座学が週5日開講。フェイスブックやアマゾンなど一流企業の講演や英語でのコミュニケーションを磨くプログラムなどを用意する。参加者の中から年間30人、海外研修を無料で提供。担当者は「国内でここまでやっている寮はない」と言い切る。

 大学の実力が表れる就職状況はどうか。実就職率を見ると、慶應も早稲田もほぼ同じ。だが、慶應の経済学部を卒業したOBは「就職の質が違う」と強調する。

 慶應は開学当初から実学を志向し、昔から経済界で活躍する人材が多い。三田会などOB会が業界・企業ごとに組織され、慶應閥を形成。現役生も有名企業への就職を希望する人が多く、卒業生ネットワークを利用して、就職を決める学生が多いと言われる。

 実際、有名企業で活躍する卒業生は慶應OB・OGが多い。トヨタ自動車の豊田章男社長やサントリーホールディングスの新浪剛史社長は慶應のOBだ。帝国データバンクによると、上場企業における慶應出身の社長数は264人。早稲田出身の社長を大きく上回っている。

「会社の三田会の集まりに行けば、上から下まで慶應OBと交流できる。これは会社で競争していく中では心強い。出世にも有利に働いているところはあるでしょうね」(前出のOB)

 大学の実力を測る尺度としては、一般企業のほか、難関国家試験の合格者数も参考になる。

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