■貴重な寝台特急をからめたプランも

 かつては、途中に夜行列車をからめることによって、「走っていない時間」を減らすことが容易だったが、この逆ルートとなる稚内発西大山行きでそんな乗り継ぎができる。

 表2がその乗り継ぎで、東京~岡山間を寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」で結ぶのである。稚内6時36分の特急「サロベツ2号」でスタートすると、東京着は20時32分。「サンライズ~」の発車は22時00分なので、ここで1時間28分のインターバルとなるが、東海道・山陽新幹線の姫路以遠行きはすでに終了しており、翌朝の乗り継ぎを考慮すると、東海道新幹線に乗り継いでも新大阪泊まりとなってしまう。翌朝は新大阪6時00分発の「みずほ601号」に乗れば鹿児島中央着は9時46分となるが、「サンライズ~」との乗り継ぎ(岡山乗り換え)でも同じ列車となるため、夜行を選ぶことが可能なのである。

 ちなみに、この乗り継ぎの所要時間は29時間18分。南北縦断ルートの最速となるが、“移動泊”による夜行列車の効果が必ずしも得られていないのが残念といえばいえる。ただし、「サンライズ~」では車中泊となるため、稚内~西大山間の全行程を改札内乗り継ぎで結ぶことができる点で貴重なプランといえるのではないだろうか。

■時刻表は変幻自在なパズルかも?

 いまひとつ、東西ルートでは表3の乗り継ぎが最速となった。

 ここでのネックは博多以西の乗り継ぎだった。博多と最西端駅のたびら平戸口とを結ぶルートは、佐世保線の有田または佐世保経由のほか、福岡市地下鉄と筑肥線(唐津~山本間は唐津線)を経由して伊万里で乗り換える方法がある。それぞれの乗り継ぎパターンを検証したところ、有田経由が最も適していることがわかった。博多~有田間は佐世保線特急「みどり」が頻発しているので、行程はおのずと決まってくるに違いない。

 ところが、どういうめぐり合わせか、その肝心な「みどり」との乗り継ぎが芳しくないのである。表3の最速プランでは、博多~新鳥栖間を九州新幹線「さくら559号」とし、新鳥栖で博多で乗り継げなかった「みどり19号」に追いつくという細かい乗り換えが必要となった。ほかのプラン(東根室発8時26分と11時06分)では「さくら」とのリレーのほか、長崎行き特急「かもめ17号」から肥前山口で佐世保線普通列車への乗り継ぎという例もあり、いずれも博多で「みどり」を捉まえることができないのである。
 
 ともあれ、こんな机上旅行も鉄道の楽しみ。今回は在来線だけのプランは割愛したが、乗り継ぎパターンは新幹線利用プランの比ではないハズで、それこそ複雑なパズルを解くような楽しさがあるように思う。いずれ旅を実行するもよし、机上だけで楽しむのもよし。ときにはこんな“鉄あそび”に興じてみてはいかがだろうか。(文・植村誠)

植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。

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