鉄道好きなら、だれもが一度は憧れる日本縦断の旅。最新ダイヤをもとに、その最速乗り継ぎ探索に挑戦。鉄道だけで乗り継ぎができる最南端と最北端、最西端と最東端ルートをそれぞれ探ってみた。
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■意外な難敵は北海道新幹線
南北ルートは、JR最南端駅のタイトルを持つ指宿枕崎(いぶすきまくらざき)線・西大山駅と、最北端駅の宗谷(そうや)本線・稚内(わっかない)駅とを結ぶ乗り継ぎ。いまひとつ、東西ルートとして、根室本線の東根室駅と松浦鉄道のたびら平戸口を検証することとした。正確には、最南端駅は赤嶺駅、最西端駅は那覇空港駅でともに沖縄都市モノレール(ゆいレール)にあるが、離島のため海路か空路を利用することになる。ここでは鉄道のみのルートづくりにこだわり、九州を起終点としてみたい。
南→北ルートは表1に挙げた乗り継ぎが、所要30時間15分で最速となった。
最初に乗る指宿枕崎線は鹿児島中央~山川間では運転本数が確保されているものの、出発駅の西大山のある山川~枕崎間では3分の1程度に激減する。言い換えると利用できる列車はわずか8本。指宿~鹿児島中央間には特急「指宿のたまて箱」が3往復設定されており、利用できれば時間短縮を期待したいところ。
鹿児島中央~新函館北斗間は新幹線の乗り継ぎとなるが、最少で2度の乗り換えが必須。「みずほ」や「のぞみ」など足の速い列車を優先して検索するが、乗り換え時のロスタイムを考慮に入れる必要もあるだろう。とりわけ、東京駅では改札を通っての乗り換えとなるうえ、相互の連絡が十全に考慮されているとは言い難いので注意が必要だ。
そこで、まずは西大山~鹿児島中央~東京間で考えられる6通り(鹿児島中央着が夜間となる指宿枕崎線の2本を除外)で検証してみた。この段階の最速は西大山を9時11分にスタートする乗り継ぎで、所要時間は7時54分(東京着17時5分)。表1aの乗り継ぎは同区間で8時間22分なので、28分も先行することになる。一方で、大きなネックがあることが判明した。東京~新函館北斗間の「はやぶさ」が時間帯によっては運転間隔が広く、ここまでの6通りに対して当日乗り継ぎができるのは14時28分の「はやぶさ29号」と17時20分発の「はやぶさ39号」2本だけなのである(表1b)。そのため、28分のアドバンテージは東京駅でのロスタイムで失われてしまう結果となった。
とはいえ、さすがに新幹線は速く、最速プランでは函館本線の滝川までの日着が可能。札幌で乗り継ぐ「カムイ47号」は0時30分に旭川に着くので、同駅近くに宿を取って、翌朝6時3分発の稚内行き普通列車に乗り込めばいい。