ジェーン・スー。東京生まれの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のMC。著書に、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』『生きるとか死ぬとか父親とか』『これでもいいのだ』、対談集に『私がオバさんになったよ』『女に生まれてモヤってる!』
ジェーン・スー。東京生まれの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のMC。著書に、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』『生きるとか死ぬとか父親とか』『これでもいいのだ』、対談集に『私がオバさんになったよ』『女に生まれてモヤってる!』
この記事の写真をすべて見る

 新型コロナ関連のニュースばかり追っていると、心落ち込み、ストレスを感じ、不安に苛まれることもあるだろう。この時だからこそ笑ってほしい! コラムニスト・作詞家のジェーン・スーさんの最新刊『揉まれて、ゆるんで、癒されて』(朝日文庫)から、心の疲れが吹っ飛ぶエッセイをお届け。今回の話は、失恋でボロボロの後輩女子を労わりに訪れた、ストレッチ系マッサージ店。後輩女子は尻伸ばしで、ジェーンさんは肩周りのストレッチで叫び声を上げるハメに。これって四十肩の前兆?

*  *  *

 大・大・大好きな20代の可愛い後輩女子が、ザックリ失恋いたしました! おめでとう!

 深夜の号泣電話は激しい嗚咽で話の7割が聞き取れず、急遽、翌日に会おうということになりました。

 翌夕、駅で私を待っていた彼女の姿はいつもよりずっと小さく見えました。この世の終わりとばかりに憔悴しきっています。わかる、わかるよその気持ち。

 しかし私は「こういう時代もあったよなー」と、スンスン泣く彼女を見てなんだかニコニコしてしまうのでした。大丈夫、大丈夫。時間がぜーんぶ解決してくれるから。

 彼女が災難だったのは、失恋と転職と、初めてのひとり暮らしが同時期に発生したことです。あれ、つらいよね。そのトリプルコンボすら経験済みなのは、私が彼女よりずっと長く生きているからにほかなりません。

 先輩面してご飯でもご馳走しようかと思いましたが、聞けば失恋・転職・引越しの三重奏で、生まれて初めて体にコリを感じているとのこと。加えて「いままでに一度もマッサージを体験したことがない」と言うではありませんか。まさにマッサージデビュタントに相応しいタイミング! その初体験に同行しない手はありません。奢るよ! マッサージ!

 目を腫らせた彼女を連れて行ったのは、麻布十番のストレッチ系リラクゼーション店。ここ数年で一気に店舗数を伸ばしているお店です。心身ともに縮こまってしまった彼女に、本来ののびのびとした姿を取り戻してもらいましょう。

次のページ
隣のベッドから聞こえてきたのは…