なぜこんなに欧米との差がついてしまったのか。それは、戦前戦中戦後と長い歴史の中で男たちの考え方がほとんど変わっていないことを意味する。
建前だけは理解を示している男性も自分のことになると、自分のつれあい、パートナーの女性のキャリアより、あくまで自分優先という例は今も枚挙にいとまない。
異次元の少子化対策だというが、異次元などという遠い話ではなく、現実を見れば、いかに育児が大変で、女性への負担ばかりが増えることは明らか。育休中に仕事のスキルを身につけるための学びを援助するというなら、まず男性が育児を引き受けて、その上の話だ。
机上の空論に一斉に反発の声が上がるのは当然のことだ。
まず男たちが一斉に育休をとり、女性が産後もすぐ元の仕事にもどれるよう支えることから始めて欲しい。
学ぶべきは女ではなく男なのだ。ましてや麻生副総裁のように「少子化の最大の原因は晩婚化」と言うに至っては、何をか言わんや!
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中
※週刊朝日 2023年2月17日号