「推薦・AO入試なら年齢制限を課せられる。また、一般的に女子のほうがコミュニケーション能力が高く、学校の成績が良いため、推薦入試などには有利と言われますが、卒業後の制限がある地域枠は女子は敬遠気味。多浪生や女子を取りたくない意識がこうしたところに出てきているのではないか」(鈴村学院長)
卒業生の子どもらを優遇する同窓生枠も形を変えて残っているという指摘もある。金沢医科大では今春の入試で「卒業生子女入試」(定員7名)を新設。東京女子医科大は「至誠と愛」の推薦入試(定員約7名)を導入。「3親等以内の親族に本学医学部卒業生又は在学生がいること」などを条件としている。
文部科学省は事前に募集要項に募集人数や選抜方法を明記し、募集の合理的な説明ができれば問題ないというスタンスだ。しかし、「公平な入試から実力のある人が選ばれるべき」(医学部受験生)という批判の声は根強い。
こうした医学部の姿勢に対し、受験関係者からは「具体的な制度面で大きく何かが改善されたという話は聞かない」「根本的には何も変わっていない」などの声が溢れる。大学通信の安田賢治常務はこう指摘する。
「今の状況では、ほとぼりが冷めたころにまた差別が復活するのではという疑念があります。例えば女性医師の割合に数値目標を掲げたりするなど、業界全体で改革の姿勢をアピールすべき。古い体質を改善できなければ、このまま優秀な受験生が減っていってしまうのでは」
信頼回復に向けた具体的な取り組みが問われている。
※週刊朝日 2020年6月5日号より抜粋
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