テレワークから出勤を再開する動きがあるなか、企業内で出社とテレワーク混在する「まだらテレワーク」という現象が起きつつある。両者間で生じるコミュニケーションや評価など格差問題にも目を向けることが必要だ。「コロナ時代の働き方」を特集したAERA 2020年6月22日号の記事を紹介する。
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緊急事態宣言が解除されて以降、徐々に「原則在宅勤務」を緩和する企業が出てきている。
「6~7月は、一部の人だけがテレワークする“まだらテレワーク”の状態になる。いかにテレワークする人をケアできるかが次の課題です」
こう指摘するのは、パーソル総合研究所上席主任研究員の小林祐児さん(36)だ。そもそもテレワークは、2009年に新型インフルエンザ流行で導入率が伸びたものの、結局定着しなかった。職務範囲があいまいなゆえに、オフィスでの雑談が業務遂行に重要な意味を持つ日本の働き方と、相性がよくないからだと小林さんは見ている。
なので、出社する社員とテレワークする社員とが混在する「まだらテレワーク」では、出社して同僚との雑談から情報や一体感を得る人と、自宅でテレワークする人との間に「格差」が生まれ、孤立感や「きちんと評価してもらえるのか」という不安を抱きがちになるという。
さらに、小林さんは、女性活躍の観点からも警鐘を鳴らす。
「夫婦でテレワークすると育児が女性に偏るという調査結果もある。『できる人から』と任意で出勤を解禁すると、結局男性ばかりが出社し、テレワークを続けるのは、完全に再開されていない保育園などに子どもを預ける女性になる可能性が高い。女性活躍のための選択肢だったはずのテレワークが、そぐわない形になってしまうのでは」
今後は、出社を自主判断に委ねるのではなく「週に1回、全員がテレワークにする」など、全体の方針として決めて社員に明示することも重要になると指摘。テレワークをし続けている人に対する、細やかで具体的なケアも必須だと話す。