一方、リクルートワークス研究所人事研究センター長の石原直子さんは「マネジメントする立場の人がメンバーとの1対1のミーティングを増やすだけでは疲弊する。同僚間で情報交換を促進していく仕組みも必要」と話す。
オフィスでは、上司と先輩の会話を聞きながら「あのやり方はダメなんだ」など、仕事の流れを自然と学ぶことができた。だが、テレワークでは、新人は与えられた仕事をこなすだけで成長率が下がってしまう。ここで重要なのが、中堅社員の役割を再確認することだという。
「中堅は自分の仕事を完璧にこなすだけでは不十分。チーム内の情報流通量を増やす発言や書き込みも貢献の一部と共通認識にすることが重要です」(石原さん)
実際に石原さんは、部下からの質問はメールではなく、全てグループチャットにして、他のメンバーが答えられる場合は、積極的に発言を促すという。チームに貢献する発言ができているかどうかは、評価にもつなげるべきという。さらにテレワークでは、自分の仕事がどう役に立っているのかが見えにくく、モチベーションを保ちづらい面もある。例えば、上層部の会議に参加させるなど「先」を見せることも大切だという。
「会議で、自分の関わった企画書が『分かりにくい』と言われても、勉強になる。リアルの会議参加はハードルが高くても、オンライン会議なら視聴のみで気軽に参加させられます」(同)
(ライター・市岡ひかり)
※AERA 2020年6月22日号より抜粋