■アメリカ人と日本人は赤ちゃんの頃から喉の使い方が違ってくる
英語を話す人の喉の状態を調べると、日本語を話す人よりも、発声時に力が入らずに大きく開いているそうです。さらに、英語は日本語と比べて、母音「a i u e o」の発音数も違いますし(26種類)、子音のみでも息のように音を出して表現します。
日本語の歌では「ドレミ」という三つの音符に対して「止まれ」のように3文字しかのせられませんが、英語では「I wanna stop」と3単語、日本語にすると8文字もの文字がのせられるわけです。
アメリカ人と日本人は赤ちゃんの頃から喉の使い方が違ってくるので、日本人が英語を聞き取れるからといって、ネイティブと同じように発音できないのは当たり前です。
ただしアメリカ人だろうが日本人だろうが、アメリカで生まれずっと住んでいた人は、ネイティブと同じ喉の使い方で英語が話せるようになるわけです。ここから、幼少期の環境は確実に発声法に関係してくると断言できるでしょう(ただし日本にいて幼児に英語の早期教育をする場合、どちらの言葉も未発達というダブルリミテッドになる可能性があるので注意してください)。
子どもは、周囲にいる人間が話す言葉を聞き、無意識に同じ言葉をまねて話すようになります。それならば、四六時中一緒にいる家族のしゃべり方が耳になじみ、同じような発声法になっていくという可能性は相当高いといえるのではないでしょうか。
幼少期から自分に染みついてしまった「音痴」な発声法は、そうそう簡単に変えられるものではありません。上手に歌を歌いたいならば、しかるべき教室で先生に指導してもらい、時間をかけて喉の使い方を矯正していくしかないでしょう。
このように、『Outliers』に書かれている「環境」と「費やした時間」は、上達にとって大きな要素となります。しかし、本当に重要な点は、そのニつでいいのか?というと疑問が残ります。