とはいえ、朝ドラのヒロインは当たりすぎても落とし穴にハマることがある。そのイメージが強すぎて、一発屋的な運命をたどったりもするのだ。「ふたりっ子」でヒロインをリレーしたマナカナ(三倉茉奈・三倉佳奈)と岩崎ひろみ・菊池麻衣子はまさにそういう印象だし、記憶に新しいところでは「あまちゃん」(2013年前期)の能年玲奈(現・のん)についても似たことがいえる。
その点、松嶋は朝ドラで大ブレークとはいかなかったものの、デビュー以来の「お色気」系のイメージを払拭することはできた。いわば「朝ドラ女優」という新たな名刺を手に入れ、ドラマや映画をメインに活動していくことが可能になったわけだ。
これにより、98年には「Sweet Season」(TBS系)と「GTO」(フジテレビ系)。その後も「救命病棟24時」(フジテレビ系・99年)「やまとなでしこ」(フジテレビ系・00年)「利家とまつ」(NHK・02年)と結果を出し続け、当代随一の人気女優に登りつめていった。その理由、あるいは極意についてもじつは前出のインタビューから読み取ることができる。
というのも、彼女は若い頃からこんな姿勢で仕事をしてきたのだという。
「自分が将来どうなりたいかは分からなかったけれど、いただいた役に対して誠実に向き合いたいっていう気持ちはすごく強かったですね。(略)あなたに仕事をお願いしたいと言ってもらえる人になるための、着実な道だったのだと思う」
オーディションに落ち続けた経験から、それは「相性」によるものと割り切り、ただ「お願いしたい」と言ってもらえた仕事については誠実に取り組む。そんな姿勢が好結果を生み、次の「お願いしたい」へとつながってきたのだろう。「一緒に仕事ができてよかった」と言われることを常に目指すという彼女は、とんねるずとのコントも朝ドラも、そういう姿勢で取り組んできたのだ。