左から松嶋菜々子、多部未華子(C)朝日新聞社
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「ひまわり」のヒロインに選ばれたときの松嶋菜々子(C)朝日新聞社
「ひまわり」のヒロインに選ばれたときの松嶋菜々子(C)朝日新聞社

 朝ドラことNHKの連続テレビ小説は、女優の登竜門とも呼ばれる。が、すべての作品がヒットするわけではない。また、当たらなかった朝ドラのヒロイン女優がみな消えてしまうかというとそうではなく、なかにはそこから巻き返してトップ女優になった人もいる。平成年間では、鈴木京香、松嶋菜々子、多部未華子といったあたりだ。

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 このうち、多部は2009年度前期の「つばさ」に主演。この作品は平均視聴率、最高視聴率ともに当時の最低記録を塗り替え、最高に関しては今も破られていない(平均についてはワースト2位)。平成生まれ初のヒロイン誕生とか、初めて埼玉が舞台になって47都道府県がコンプリートされたとか、新鮮な話題性はあったが、数字には結びつかなかった。

 とはいえ、多部は前々年の「山田太郎ものがたり」(TBS系)で嵐の二宮和也や櫻井翔と共演。翌年には三浦春馬と共演した映画「君に届け」がヒットした。そのあいだに挟まれた「つばさ」が当たっていれば、この時期に大ブレークしていたかもしれない。

 それから約10年、実力のわりに地味な印象だったが、昨年の主演作「これは経費で落ちません!」(NHK)でようやく実力に評価が追いついた感じだ。現在放送中の主演作「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)も好調である。

 ただ、朝ドラのこけ方でいえば、鈴木のほうが激しかった。ヒロインを務めたのは、1991年度の「君の名は」。終戦直後にラジオや映画で一世を風靡した同名メロドラマのリメイクであり、NHKも前後期ぶちぬきで放送する意気込みをみせた。

 にもかかわらず、視聴率は最高、平均とも当時の最低記録を更新。鈴木自身、ここで正統派美人女優というイメージがついたことにより、路線に迷いが生じてしまう。転機となったのは、4年後のドラマ「王様のレストラン」(フジテレビ系)だろう。もともと定評のあったコメディエンヌとしての才能が、三谷幸喜の脚本によって一気に開花した。今年の4~6月に放送された主演作「行列の女神~らーめん才遊記~」(テレビ東京系)も似たテイストのドラマで、まさに本領発揮という趣である。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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松嶋は「お色気」系から本格女優へ