「人類がコロナに打ち勝つ証しとして」(安倍晋三首相)、来夏開催予定の東京五輪の行方、そして開催を公約に掲げて再選した小池百合子都知事の今後は――。ジャーナリストの池上彰氏と元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が語り合った。
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佐藤:今後のコロナ関連の国際ニュースで注意したほうがいいのは、まず北朝鮮。一連の南北共同連絡事務所爆破とか。おそらく今度は(南北経済協力事業の)金剛山(クムガンサン)観光地区と開城(ケソン)工業団地を爆破するんだけど、これは、コロナでアメリカのトランプ大統領が自分のほうを振り向いてくれないから、僕のほうを向いてくださいという求愛ですよね。求愛を恫喝(どうかつ)で表すという形になっている。コロナが北朝鮮に大きな影響を与えているということなんです。これでもトランプ大統領が手いっぱいで関心を持たないと、少しずつエスカレートさせてきますからね。そうすると、日本の上を飛んだ中距離弾道ミサイルが、また飛んでくるかもしれません。あるいは核開発をするとか騒ぎだしたりして、また面倒くさいことになる。朝鮮半島情勢が緊張するかもしれない。
もう一つ注目しないといけないのは、ウクライナ情勢ですね。トランプ大統領が思いつきで、G7サミット(主要7カ国首脳会議)の拡大とか言うから。そうすると、これはロシアが冷ややかですが、対中国包囲網を作るということよりも、ウクライナ問題に焦点があたっちゃうんですよ。ロシアがサミットから追い出されたのは、ウクライナ問題でしょ。国際政治に影響を与えるのは北朝鮮に、ウクライナ、イランの三つです。
池上:コロナ関連のニュースでは来年夏の東京五輪についてもよく取り上げられていますが、年内にワクチン開発ができても開催は無理ですね。できるわけないです。
佐藤:ワクチン次第というよりも、ワクチンができたところで、世界に普及しているかどうかが重要。あとは、選手たちが来るか。五輪を実現した場合は、日本は空前のメダル数じゃないでしょうか。
池上:それはそうでしょうね。みんな来ないですからね。
佐藤:国体(国民体育大会)とどこが違うんだということを言う人も出てくると思うけど、メダルの獲得ということからすると、大きいチャンスが来ると思います。