唯一コロナの感染者を出していない岩手県。同県トップ校の盛岡第一高校から、東京大を目指す女子生徒がいる。
「世界史で学んだイスラム文化に関心を持った。東大が日本で初めてイスラム研究に取り組んだと知り、興味が湧きました」
東大ジャズ講義録『東京大学のアルバート・アイラー』を読み、「こんな面白い講義をやるなら、絶対に東大で学びたい」と、ますます熱が高まった。
幸い学校は休校にならず、発話する英語はマスクを着用したが、ほかは通常通りだという。塾には行かずに、高校の教員の指導で東大を目指す。6月に行われた模試はA判定だったが、「例年よりも受ける生徒が少なかった。自分の位置がつかめずA判定でも安心はできない」
東京で広がる新型コロナには、やはり不安を感じる。親は「無理をして東京に行かなくても」と、総合型や学校推薦型で東北大へ進学することを勧める。しかし、第1志望は揺るがない。第1志望の東大だが、注文もある。
「今年進学した先輩はずっとオンラインで授業を受け、つまらないと言っていた。私たちの時にもどうなっているかわからない。オンラインでも、学びがいのある授業を行ってほしい」
(ライター・柿崎明子)
※AERA 2020年8月3日号より抜粋