4カ月にわたる休校は受験生に、混乱と不満を招いた。 受験生たちは休校中どう過ごし、日本中で再び感染が広がるなか、いま何を思うのか。AERA 2020年8月3日号の記事を紹介する。
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迷走した入試日程も、ようやく大筋が決まった。文部科学省は6月19日、2021年度の大学入試についての「大学入学者選抜実施要項」を発表。長期休校で学習が遅れた高校3年生に配慮し、大学に個別試験で「発展的な学習内容」を出題しないことなどを求めている。従来なら9月1日から始まる総合型選抜の出願は、2週間遅らせる。大学入試センター試験に代わって今年から始まる共通テストには第2日程を、さらに2月中旬には特例追試も設けた。どちらを受けるかは受験生が選択できるが、浪人生は第2日程には出願できない。
問題の傾向を見られることで第2日程が有利だとする声もあるが、国公立大の2次試験や併願する私大入試の対策期間が短くなるため、多くの受験生は第1日程を受ける模様だ。前出の駿台教育研究所進学情報事業部部長の石原賢一さんは「セーフティーネットとして受けておくべきだ。コロナが蔓延し入試ができなくなったら、共通テストの点数を選考に使う可能性もある」と勧める。通常、制度移行の初年度のテストは、難易度を抑えて作られるという。例えば共通1次初回の全体の平均得点率は64%、センター試験は68%だった。
「しかも来年の共通テストは、2回開催と手厚い。基本的なことをしっかりやれば、それほど心配する必要はありません」(石原さん)
渦中の受験生は、どのように過ごしているのか。
都内の難関私立中高一貫の女子校に通う生徒は「この4カ月、あっという間だった」と話す。第1志望は首都圏の国立大学。2年次にオープンキャンパスを訪れ、明るい雰囲気に引かれた。高校は6月から隔日登校になり、全員が顔をそろえたのは6月末。自宅待機の間は10~15時まで学校のオンライン授業を受け、その後はオンライン学習サービス「スタディサプリ」を使って受験勉強をした。