■料理
「おうちごはんの機会が増えると、献立を考えたり、作ったりが本当に大変! たまには栄養のことは忘れて、とにかく好きなものをおいしく食べることがあってもいいのでは、という提案です」
ジュンク堂池袋本店(東京)の青柳真紀さんが薦めるのは『休日が楽しみになる昼ごはん』小田真規子/谷綾子著(文響社)。レシピとしても実用的だが、料理にまつわる物語がイラストとともに紹介されており、読み物としても楽しい。
長くなりがちな自宅での時間を生かし、しっかり料理をしたいなら『世界のおばあちゃん料理』ガブリエーレ・ガリンベルティ著/小梨直訳(河出書房新社)がいい。世界50カ国、58人のおばあちゃんの秘伝のレシピを公開。「レシピだけでなく、鮮やかな写真(料理とおばあちゃんの両方)と短いエッセーもついているので、気分転換のための読み物としてもいいですよ」と青柳さん。
■美術
『ストリートの美術 トゥオンブリからバンクシーまで』大山エンリコイサム著(講談社選書メチエ)はバンクシーが注目を集める今、読みたい本である。「現代アートは美術的な素養がないと理解するのは難しい面があります。しかし、ストリートアートは、ファッショナブルで説明抜きにわかりやすいです」と銀座蔦屋書店(東京)の和田大和さんは解説する。
値段は張るが美術書として価値が高い、というのが『ART SINCE 1900 図鑑1900年以後の芸術』(東京書籍)だ。過去100年間のアートにまつわるさまざまなトピックを編年体でまとめ上げた名著の和訳版。
「ゴンブリッチ著の『美術の物語』と並んで美術史の名著であり、どちらも本棚にあるだけで、アートのあらゆる知識を得た気にさせてくれる、心理的効果の高い本です」
■絵本
こどもの本専門店&カフェのブックハウスカフェ(東京)の茅野由紀さんは、1954年の刊行以来読みつがれている『ちいさいおうち』バージニア・リー・バートン著・イラスト/石井桃子訳(岩波書店)を薦める。
「一つのちいさな家が、時代の移り変わりにより環境が変化していくさまを見つめていくお話。建築学的にも、都市計画的にも、おもしろく読めます」
『ながいながいへびのはなし』風木一人作/高畠純絵(小峰書店)は、とても長いへびの頭としっぽが別の生き物のように生きる微笑ましいストーリー。
「とにかく物事をつい考えすぎてしまう大人にも十分読みごたえがあるし(つっこみどころも満載で楽しい)、子どもはきっと無限の想像力と狭い常識にとらわれず心から楽しむでしょう」
(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2020年8月7日号から抜粋