コロナ禍の世も、本の世界は遠くない。「これは」とイチオシの作品は? 目ききの書店員たちに尋ね、12ジャンル36作品の回答を得た。今回は、趣味、ビジネス、自然科学、料理、美術、絵本のジャンルから紹介する。活字にご無沙汰していた人もこんなときこそ、Go To 本屋!
■趣味
コロナ禍で遠くに出かけられなくても、身近な発見はある。そんなことを気づかせてくれるのが『美しき小さな雑草の花図鑑』多田多恵子著/大作晃一写真(山と渓谷社)。「いつもは目も向けない雑草をよく観察してみると……予想外なぐらい、美しい花がひそかに咲いています。小さな世界の美しさにそっと気づくことができる本です」とは宮脇書店本店(香川・高松)の藤村結香さん。
「家にいても楽しみ方はいろいろあります」とお薦めなのが『どんぶり金魚の楽しみ方』岡本信明/川田洋之助著(池田書店)である。「世界でいちばん身近な金魚の飼育法として丼で飼育するための実用本です」とか。しっかりとした飼育法が、イラストを多く用いてわかりやすく紹介されている。“おこもり生活”の潤いに、丼で金魚を飼ってみるのもあり。
■ビジネス
コロナ禍の在宅勤務のひろがりで、働く環境は劇的に変化している。
『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン著/門田美鈴訳(扶桑社)は色褪せない、とお薦めするのは丸善丸の内本店(東京)の早坂学さん。「日本で出版されて20年。いまだに読まれている一冊です。ページ数も少なく、日頃本をあまり読まない方にもおススメです」と早坂さん。IBM、アップルなど、世界有数の企業が社員教育のために本書を採用した例も。
ビジネスにおいて数字は切っても切り離せない存在である。でも数字は苦手という人にこそ読んでほしいのが『会計の世界史』田中靖浩著(日経BP)。難しくて複雑な数字および会計用語が出てこないのに、会計の何たるかがわかるスグレモノだ。
■自然科学
コロナ禍は、生と死について深く考えさせられる局面でもある。でも例えば2億年後まで生きていたらどうなるだろう。2億年後の地球を描いた書が『フューチャー・イズ・ワイルド』(ダイヤモンド社)。そこに人類はおらず、想像を絶する進化を遂げた生物が支配する。「繁栄をとげている生物は何なのか? あくまでも仮説ですが、ワクワクできて親子でも楽しめる一冊です」と有隣堂店売事業部(横浜)の細川吉彦さん。
未来から身近な小さなものへ目を転じてみよう。すべてのものは最終的に元素へ分解できる。でも元素なんて難しそう、と思っている人も『元素生活 完全版』寄藤文平著(化学同人)なら大丈夫。「元素を緩く、擬人化したイラストでわかりやすく紹介した一冊です。この本に小学校の頃出会っていれば! 化学好きになったかも?」と細川さんは伝えてくれた。