日本人の死因の6位にランクされている誤嚥性肺炎。予防にはのみ込む(嚥下)力、よく噛む(そしゃく)力など「食べる力」のトレーニングが重要だ。楽しみながら簡単に食べる力を鍛えるトレーニングを紹介する。
【画層】「よっこいしょういち運動」「口パク宣言」…?食べる力を鍛えるユニークなトレーニングはこちら
* * *
本来胃に行くべき唾液や食物が、気管から肺に行ってしまい、感染症を起こしてしまうのが誤嚥性肺炎。嚥下やそしゃくなど、食べる力が低下するお年寄りがなりやすい病気だ。
その食べる力をトレーニングする、「まいにち、くちビル」は、一般社団法人のグッドネイバーズカンパニーが作った。メンバーは医師、看護師、理学療法士など医療のプロで構成されている。代表理事の清水愛子氏は大手広告会社を辞めて医学部に入り直し、医師になったという異色の経歴の持ち主だ。
「地域の医療や福祉の分野には、広告会社が得意とするコミュニケーションの力をもっと生かせると考えています」と、清水氏は同法人の活動に込める思いを話す。「まいにち、くちビル」は、そんな思いを具体的な形にした成果の一つなのだ。
日めくり形式のトレーニングには、「黒ひげに見立てた海苔を鼻の下に貼り、舌ではがしてみよう」「早口言葉を言ってみよう」など、口を動かしたり声を出したり、なるほど食べる力の強化につながりそうなメニューも多数ある。一方で、「文章の虫食いを埋めよう」「スクワットやもも上げをしよう」など、食べる力と一体どう関係があるの?というものも、かなり含まれている。
「例えば、座れないほど筋力が落ちてしまうと、誤嚥性肺炎のリスクが高まるなど、全身の筋力アップは食べる力と関係しています」と清水氏。そのほか全身の筋力が関わってくる「踏ん張る力」なども、食べる力に大いに影響するという。
また認知症などによって食物をそれと認知できなくなってしまうと食事への意欲が下がり、それが体力低下へつながってしまう。このように全身の筋力や認知力を鍛えることは、食べる力の維持向上と深く関わっているのだ。