同組織のメンバーで、政府の新型コロナ対策分科会の委員でもある川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「新型コロナは赤ちゃんのような新しいウイルスで、この先の成長はまったく未知数」と断った上で、興味深い話をする。

「一つ確かなのは、1~2月のインフルエンザの流行の収束と、新型コロナの感染対策の実施時期を比較すると、収束時期のほうが早いのです」

 19~20年シーズンのインフルエンザが小流行にとどまった一因に、新型コロナの感染対策があったと紹介したが、それだけでは流行の収束は説明できないわけだ。その別のファクターは何か。濱田教授が解説する。

「あくまでも一つの説ですが、一般に、ウイルスは細胞膜にあるレセプター(受容体)から細胞内に侵入して増殖していきます。あるウイルスが大流行した場合、このレセプターをそのウイルスが占領してしまう。結果、他のウイルスは細胞に入り込めなくなるといわれているのです」

(本誌・山内リカ、亀井洋志)

週刊朝日  2020年10月23日号より抜粋

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