米国内の評価は最大級のものだ。大谷翔平(エンゼルス)は、「仮に投手がダメでも打者としてやれる」という二刀流としての評価だった。しかし菅野の場合は投手として過去最高クラスの評価を得ていると言える。
「最高の選手たちと戦いたい」という純粋な気持ちがあった。しかし自身を取り巻く環境を冷静に分析し、渡米は不可能だという判断を下した。そこで「東京五輪での金メダル獲得」に野望をチェンジ、生涯巨人も念頭に入れていた。しかしコロナ禍によって状況は一変した。
「1浪してまで巨人入り。そして伯父である原監督は巨人再建を託され3度目の監督就任。チームもうまく行き始めた矢先であり、エースである自分が抜けられないと判断した。メジャー挑戦を諦め、目標を東京五輪での金メダルに絞った。ところがコロナ禍による五輪延期。そうなると話は別で、最高レベルの選手との対決を求め大リーグ挑戦を再び望んでいる。五輪延期で1度は下がった気持ちを持ち直し活躍ができるのもメジャー側へのアピールもあるから」(巨人担当記者)
東京五輪が通常開催されていれば問題はなかった。21年オフになると予想される海外FA権を行使、通常ルールに則っての渡米も考えられた。巨人のエースで投げている間に、若手中心に投手王国建設を図るつもりだった。しかし状況は変化、今オフの大リーグ挑戦が現実味を帯びている。
そうなって来ると巨人周辺の動きが騒がしくなる。戦力の大幅ダウンを避けるため、投手に絞った大型補強が行われるかもしれない。
今シーズンのオフに揃ってFAとなる中日・大野雄大、ヤクルト・小川泰弘というライバル2球団のエースを獲得しようという動きに出る可能性も十分に考えられる。
「2人とも野球に対する取り組み方が素晴らしい。うちの投手陣には素晴らしい素材が多いが、まだまだ荒削りな部分も多い。投球を知り尽くした2人が加入すれば、数字以上の影響力は計り知れない。また大野が左腕、小川が右腕なので理想的なバランスになる。近年はDeNA、中日など良いサウスポーが多い球団の躍進が目立つ。田口麗斗、今村信貴などがさらに進化すれば左腕王国も夢ではない。状況が許せば両投手とも、是非とも欲しい」(巨人関係者)