大野は球速150キロ前後であるが、ツーシーム、スライダー、フォークなど多彩な球種を操る。気持ちの強い投手であり、同学年の田中将大や斎藤佑樹などへの強烈なライバル心をプロ入り前から隠さなかった。
小川は身長171cmと小柄ながら、全身を大きく使った投球フォームからキレの良い球を投げ込む。大リーグの名投手ノーラン・ライアンを尊敬、参考にしており『ライアン小川』と呼ばれる。
2人に共通しているのはノーヒッター達成経験者であること。大野は19年9月14日の阪神戦(ナゴヤドーム)、小川は20年8月15日のDeNA戦(横浜)で達成している。長い回を投げられ、ブルペン陣の負担を減らす意味でも貴重な存在だ。
「巨人はかなりのリストラを予定している。実績、知名度がある選手も同様で、投手では岩隈、野上亮磨などが筆頭格だと言われている。選手枠を空けるとともに、FA参戦するための予算を作り出す意味もある。若手への切り替えが進みリーグ連覇したとはいえ、投手陣はまだまだ菅野に頼るところが大きい。強力打線の巨人で年間通じてローテーションを守れば、大野、小川とも2桁勝利は計算できる。その間に20代の若手投手が一人前になれば、今後10年は投手王国を築ける。チームプランとしては完璧です」(巨人担当記者)
00年代『金満野球』と呼ばれFAなどで他球団の強打者を集めた時期があった。「打って点を取れば勝てる」という単純発想でビジョンなどなかった。当然、大型補強は失敗するものも多く、チーム低迷の原因となったこともあった。そこからチームを立て直したのが、当時の原監督だった。今回も監督就任してすぐに結果を残すなど『名監督』ぶりは健在。また目の前の戦いに勝つことに加え、“未来の巨人”をプランニングしているのも想像できる。
早々とリーグ優勝当確ランプが灯った現在、差し当たっての心配は日本シリーズと補強。今オフ、巨人は再び『ストーブリーグ』の中心になりそうな雰囲気だ。他球団は今から戦々恐々だ。