小堀医師は、現実的な感染対策として、

(1)性交渉の相手を限定する
(2)熱や咳が出ている人とは性交渉をしない
(3)必ずコンドームを使い、行為の前後には手を洗うこと

 の3点を心がけるよう呼びかけている。

 性交渉に“新しい様式”を導入するよう求めているのは、ニューヨークの保健局だけではない。例えば、性に関する情報や研究結果を発信している「国際性機能学会」は、コロナ患者に対し、「テレフォンセックスや、スマホを使ってパートナーとエッチなやりとりをしましょう」と呼びかけている。

「性交渉以前に、患者は安静にしたほうがよいのでは?」などとツッコミたくもなるが、女性向けアダルトグッズを手がける国内ブランド「ラブコスメ」が、女性会員1954人に対して行った調査では、半数以上の約52%が、オンラインを使った性行為に「関心がある」と回答している。未経験者にとっては抵抗感がありそうなオンラインセックスだが、意外にも関心を持っている人は一定数いるようだ。

 夫婦の問題などについて執筆や講演をしている「恋人・夫婦仲相談所」所長の三松真由美さんは、コロナ禍で「オンラインセックスついての相談が増えている」と実感している。オンラインセックスとは、具体的にどのような行為をするのだろうか。

「電話やメッセンジャーで性的な言葉を言い合ったり、身体を画面越しに見せあったりするのです。最近ではかなり離れた場所からでも操作できる『リモートバイブ』が発売され、コロナ禍を背景にブームになりつつあります」

 前出の「ラブコスメ」の担当者は、「これまではBluetoothによる近距離の操作しかできませんでしたが、現在発売しているバイブは、専用のアプリを使用すれば、東京~大阪のような離れた場所からでも、アプリを介して操作が可能です。国をまたいでも通信できるので、通信状況さえクリアできれば、たとえ地球の裏側からでも、遠く離れたパートナーと繋がることができるのです」と話す。4月の緊急事態宣言の前と比較して、リモートバイブの売り上げは約140%も増加したという。

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性のエンタメ化 その一方で…