「近年は娯楽の多様化もあり、“セックスレス”が深刻でしたから、このような性交渉の『エンタメ化』を歓迎しています。リモートバイブに限らず、性交渉はもっとエンタメ化していい。感染対策にかこつけて、フェイスガード着用で性行為をしたり、マスクに性的なワードを書いてみたりして、コロナ禍の性を面白がってほしいです。単調な性交渉だけではマンネリ化しますから、こうした性行為で、冷え切ったパートナーとの関係を改善させるのも手です」(三松さん)
確かに、交際期間が長いマンネリ気味のカップルにとっては、こうした性行為もある意味で“起爆剤”になるのかもしれない。ただ、オンラインセックスに抵抗を感じる人も多いだろう。パートナーに対して明確な意思確認をしておくことは抑えておきたい。性的同意などについて啓発活動をしている「Genesis」共同代表の高島菜芭さんはこう警鐘を鳴らす。
「コロナ禍で、セックスの回数が増えたカップルは一定数います。特に同棲しているカップルにはその傾向が強い。しかし、回数を重ねると、パートナーの性的同意を取り付けることをおろそかにしがちです。特にオンラインセックスなどについては、パートナーの意思を十分に尊重してほしいです」
恋人や夫婦であっても、「同意のない性行為は犯罪」という考えは徐々に主流になってきた。コロナ禍でもこうしたことを忘れてはいけない。ましてやオンラインセックスでは、動画や画像、音声などのやり取りが相手に記録されうることから、リベンジポルノのリスクについても懸念がある。高島さんはこう続ける。
「コロナ禍を機に、性交渉の目的をカップルでクリアにしてほしい。身体的な快楽のためか、それとも愛情表現なのか、単に子どもをつくるためなのか。性交渉の目的を互いに一致させれば、具体的にどのような行為ならお互いに許容できるのかを話しあえるはずです。新型コロナの感染対策は人によって温度差がありますから、その点もすり合わせる必要があります。遠隔で使用できるセックス玩具も含め、さまざまな選択肢のなかから、お互いが納得したコミュニケーションを選んでほしい」
パートナーへの思いやりをいつも以上に大切にする。それこそが、コロナ禍での性交渉に求められる“新しい様式”なのかもしれない。(AERAdot.編集部/井上啓太)