大阪大は公立大学法人大阪、大阪府知事、大阪市長に対して、英語表記を再考するように申し入れたが回答をもらっていない。

 公立大学法人大阪は、特許庁に対し「University of Osaka」を商標登録出願したが、大阪大は「本学としては当該登録は認められるべきではないと考えております。このため、本日(8月21日)、特許庁が適正な審査を行うために設けている情報提供制度を利用し、本学は審査において有用であると考えられる刊行物等を特許庁に提出しました」(同大ウェブサイト 8月21日)と抗議の意を示す。

 大阪大工学部のある教授はこう話す。

「大阪府知事の吉村洋文さん、大阪市長の松井一郎さん、そして府知事と市長をつとめた橋下徹さんが、大阪市立大と大阪府立大の統合を進めた。3人がこれまで繰り出してきた百戦錬磨の政治手法に、のほほんとやってきた国立大学が勝てるわけがない。英語表記はあきらめています。阪大教授がUniversity of Osakaという肩書きで執筆した優れた論文まで大阪公立大の手柄にされるのは悔しいですけど。3人はきっと『それは阪大さんのミスですよ』と突き放して、おしまいでしょうね」

 2020年代、公立大学に新しい仲間が加わる。

 20年、静岡県立農林環境専門職大が開学した。21年、広島に県立大学として叡啓(えいけい)大、新潟に三条市立大が開学予定である。三条市立大にはバングラデシュ出身の学長が就任する予定だ。なお、北海道の旭川大が2022年に公立大学化することが検討されていたが、1年延期となった。

 公立大学は自治体が運営している。地方都市では学生が集まることで地域の活性化を図りたいと考えている。

 公立大学は地域の救世主になれるだろうか。そのためには、その大学ならではの個性を打ち出すしかないだろう。国際教養大のように授業がすべて英語で留学必須にする、会津大のようにたくさんの外国人教員がコンピューターの最新知識、技術を教える、などである。地域創生のカギを握りそうな公立大。個性派の誕生を期待したい。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫

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