2020年、首都大学東京が東京都立大に改称した。
石原慎太郎・元都知事が2005年に名づけた首都大学東京は、小池百合子・現都知事によって葬り去られてしまう。首都大学東京という名称について、教員からは「学会などで大学名がなかなか浸透せず、旧都立大と説明することがあった」、学生からは「就職活動の時、私立大学と間違われて不利だ」という批判が出たこともある。私立大学を見下すような姿勢は問題だが、「都立大」の復帰を望む意見は「首都大学東京」に改称されて10年以上経っても聞かれていた。結局は2人の都知事に翻弄されたと、嘆息する都立大教員は少なくない。
東京都立大は公立大学のなかで学生数がもっとも多い。教員数は大阪市立大にトップを譲っているが、これは同大学が医学部を持っているからだ。
公立大学のなかでランキング1位校を紹介しよう。
<教育>
(1)外国人留学生(学部)=高崎経済大 111人
(2)海外への留学生派遣=国際教養大 165人
(3)外国人教員(常勤)=会津大 40人
(4)科研費(教員1人あたり)=京都府立医科大 310万2584円
<進路>
(5)小学校教員=都留文科大 140人
(6)中学・高校教員=都留文科大 44人
(7)警察官=北九州市立大 18人
<国家試験合格者数>
(8)看護師=埼玉県立大 128人
(9)保健師=静岡県立大 107人
(10)管理栄養士=山口県立大 47人
<国家試験合格率>
(11)医師=横浜市立大 97.7%
(12)薬剤師=名古屋市立大 89.77%
(13)社会福祉士=大阪市立大 86.7%
(14)精神保健福祉士=青森県立保健大、県立広島大、山口県立大 100%
(15)作業療法士=大阪府立大、神奈川県立保健福祉大、札幌医科大 100%
進路で都留文科大、北九州市立大が健闘している。
都留文科大は全国から学生が集まっており卒業後、地元に戻って小学校、中学校、高校教員になる者が多い。全国各地に同校出身の教員ネットワークが築かれている。
北九州市立大は法学部、経済学部、地域創生学群の学生が地元の公務員志向が強いこともあって、警察官、消防官の採用者が多かったようだ。また、キャビンアテンダント採用は、2015年から19年までの5年間で39人と、公立大学でもっとも多い。文学部、外国語学部の女子学生がめざすケースが多く見られる。また、北九州にはスターフライヤーの本社があり、航空会社が身近なことも希望者が多い理由といえる。