公立大学は、2010年代以降は大きな変化を迎えている。新設大学の誕生、私立大学の公立大学化だ。
<新設大学>
新見公立大(岡山 2010年)、福山市立大(広島 2011年)、秋田公立美術大(秋田 2013年)、山形県立米沢栄養大(山形 2014年)、敦賀市立看護大(福井 2014年)、公立小松大(石川 2018年)、長野県立大(長野 2018年)
<私立大学の公立化>
静岡文化芸術大(静岡 2010年)、名桜大(沖縄 2010年)、公立鳥取環境大(鳥取 2012年)、長岡造形大(新潟 2014年)、福知山公立大(京都 2016年)、山陽小野田市立山口東京理科大(山口 2016年)、長野大(長野 2017年)、公立諏訪東京理科大(長野 2018年)、公立千歳科学技術大(札幌 2019年)
公立化した大学はそれまで定員割れで経営が困難だったところも少なくない。地方の自治体としては、若年層に地元にとどまってもらう、あるいは来てもらうため大学には存続してほしい。こうして大学と自治体の利害が一致して公立化が実現したわけだ。
2022年、大阪公立大が誕生する。大阪府立大と大阪市立大を統合し、新たな大学としてのスタートだ。大阪に市立、府立の大学があるのは二重行政でムダという考え方があっての統合であり、そういう意味では、住民投票で頓挫した「大阪都構想」の一政策を、大学で実現させたともいえる。
統合によって、公立大学としては学生数、教員数いずれも国内最大規模となる。なお、校舎面積の広さは大阪市立大がすでに公立大学トップで、大阪府立大を加えることでさらに広くなる。25年に森之宮地区(大阪市城東区)に新キャンパスを開設する予定だ。
ところで、大阪公立大を運営する公立大学法人大阪は、大学の英語表記を「University of Osaka」とすることを決定した。これに対して、国立の大阪大は怒った。
「本学の英語名称『OSAKA UNIVERSITY』は、長年にわたり使用している名称であり、海外においても広く認識され、定着しているところです。大阪公立大学の英語名称はこれと酷似しており、今後、受験生や本学の学生・卒業生をはじめ、一般市民の皆様、特に海外の研究者、学生に大きな混乱を招き、世界にはばたく両大学の未来にとって非常に大きな障害となることは必至です。そのような事態にならないよう憂慮しておりましたが、結果として、双方の間で意見交換が行われないまま決定がなされたことは誠に残念でなりません。昨日、大阪府知事、大阪市長、公立大学法人大阪理事長あてに、その旨をお伝えしたところですが、引き続き、多くの関係者の皆様の混乱を招くことのないよう配慮をお願いしたいと考えております。」(大阪大ウェブサイト 2020年6月26日)