皇后・雅子さまに対しても、ご病気による長期のご静養中には厳しい声があがったこともありました。
――「ずれ」として思い出すのは、2004年、当時皇太子だった天皇陛下のいわゆる「人格否定発言」です。「雅子のキャリアやそのことに基づいた人格を否定するような動きがあった」と話された内容は、異例の発言としてセンセーショナルに報じられました。当時の国民の間に波紋を広げたのは確かです。こうして過去をたどっていくと「ずれ」た例があるにしろ、今回の問題はどのように捉えていますか。
河西:生きた人間を象徴とする天皇制において、国民の支持は欠かせません。一方で、生きた人間である限り、皇室の方々の言動と国民の間にある種のずれはいつか出てくるものでもあります。
今回、眞子さまは「結婚は生きていくために必要な選択」とご自身の言葉でお気持ちを表現されました。秋篠宮家では、リベラルな考えのもとに、個人を尊重する教育をされてきたということが背景にあります。でも、あの「お気持ち」発表は国民にとって刺激が強かった。もっと柔らかい解決法を探っていたら、事態は変わっていたかもしれません。
小室さんの金銭トラブルが報じられた当初、私は正直ここまで長引くとは思っていませんでした。それが、これほどまでに国民の間で議論が続くのは、今回の問題は、もう「微妙なずれ」ではなくなったということの証しです。この、かい離は、皇室にとって危機といってもいいほどの状況だと私は感じています。
(聞き手/AERAdot.編集部 鎌田倫子)