元気な体のためには、運動や食事のほか「暮らし方」も大切。メディカルガーデン整形外科院長の伊藤晴夫医師にロコモ(運動器症候群)、特に腰痛を防ぐための生活習慣や環境づくりを聞いた。
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「寝たきり」になる3大要因は、脳卒中、認知症、転倒による骨折です。それに加え、要介護を引き寄せる宿敵が腰痛です。
いつまでも自分の足で歩き、自立して身の回りのことをするためにも腰を大切にしてほしいですね。腰痛リスクの8割は自己防衛できるので、暮らし方や習慣を見直してみましょう。
まず座り方。浅く腰掛けて上半身を背もたれに預けて座ると、腰に負担がかかります。フカフカのソファにお尻を沈ませるような座り方もNGです。腰が後ろに落ち込んで椎間板に大きな圧がかかります。椅子に深く腰掛け、膝をほぼ直角に曲げるように座るといい。立ち上がるときも、床に足の裏全体をつけて頭がスッと上に引っ張られる感じを意識しましょう。
どんな椅子でも長時間同じ姿勢でいれば腰痛の原因になります。ときどき椅子から立って体を動かしましょう。映画館で映画を見るときも、静かに足踏みをしたり、10秒ほどおなかに力を入れるといいですよ。
寝具選びも大事。柔らかな布団は寝心地がいいですが、腰に不安がある場合は危険です。仰向けに寝たときにお尻が沈み込み、横向きに寝たときにも骨盤が沈んでしまいます。適度な硬さを選びましょう。高齢者にはベッドがお勧めですが、布団を続けるなら、床ずれを防ぐために硬すぎにも注意して。押し入れにしまうときは腰を落とし、低い姿勢からゆっくり持ち上げるようにしてください。
※週刊朝日 2013年3月22日号