――センター試験から大学入学共通テストになり、より「思考力」を重視するという方向に変わりましたが、実際のテストではどんなことが重視されると思いますか?

 正直、実際に問われるのはやはり「知識」でしょう。思考力がそんなに簡単に覗けるはずもないし、ベースの知識がないと、考えようにも考えられないわけです。思考力って、持っている知識を どう活用するかであって、試験会場でゼロからイチを生み出すことではないですから。信じ続けるべきは、自分が習っていないことは基本的には出ない、つまり教科書に載っていることが出ますよ、ということ。

 もしわからない問題が出たとしたら、知識が問題とつながっていないか、単純に習ったことを忘れているか、その場に載っている情報だけから解けるか、のどれかです。データを読み取る問題なんかは3番目のものに該当する、ちょっと新しいところなので、ここは対策で差が出る可能性があります。それ以外は、基本的に教科書に書いてある内容を運用する問題なので、運用の仕方をある程度押さえておく必要はあっても、まったく未知の問題に出合うことはありません。言い換えると、教科書をしっかりと網羅できてさえいれば、その応用問題を出されても答えられるので、自信を持っていいと思います。

――センターから大学入学共通テストに代わったから、今までと違う勉強をしなきゃ、ということはないですか?

 そうですね。たとえば理科なら実験が以前より少し重要視されるようになるとか、テクニカルな面で多少変わったものが求められるかもしれませんが、教科書に載っていることの学び方に関してはそれほど変わりません。また、初年度なので、ある程度クセのある問題は抑えようという傾向もあるかもしれません。新しいテストであることに対しては、過度に不安になりすぎず、今までどおり教科書の基本を押さえるということでいいと思います。

――最後に受験生に応援メッセージをお願いします。

 初年度のテストであることに加えて、コロナのような不測の事態もありますが、自分ではどうにもならないことに対しては、立ち向かわないことです。自分vs.コロナ、自分vs.苦難な状況と捉えてしまうと、その状況を解決したくなってしまいますが、現状はどうにもなりません。これを読んでいる受験生は、ターゲットとなるXデーを見据えて残り数日やるしかない。あなたが集中して戦うべきはただ一つ、試験です。

◯いざわ・たくし/QuizKnock編集長、株式会社QuizKnock CEO。2016年10月にQuizKnockを立ち上げ、19年に会社化。WEBの編集やYouTubeへの出演のほか、テレビ出演や執筆、講演登壇など活動の場を広げている。「高校生クイズ」2連覇、「東大王」優勝などの戦歴を誇るクイズ王。東京大学経済学部卒。

(構成/ジュニアエラ編集部 吉田美穂)

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