西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「来世と死の不安の関係」。
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【死後】ポイント
(1)他国より来世を信じない日本人は死への不安も強い
(2)来世を信じても死の不安のすべてはなくならない
(3)スピリチュアリティーに対して謙虚に心を開こう
ターミナルケアや死生学を専門分野にしている宗教学者のカール・ベッカーさんとは古いつきあいです。そのカールさんの教え子がうちの病院で臨床心理士として働いていたことがあります。
藤田みさおさんというとても優秀な方でした。その後、京都大学の博士課程に進学され、現在は同大iPS細胞研究所で特定教授をされています。
その藤田さんが病院にいた時に書いた原稿が「来世を信じることは死の不安をやわらげるか──がん医療の現場から」というものでした。とても興味深いテーマです。カールさんが編者をした『生と死のケアを考える』(法藏館)という論考集に収録されています。
藤田さんは国別の死の不安の強さについて、様々な文献によって考察しています。死の不安を心理テストで数量化すると、そういう比較が可能になるのです。その結果、東南アジア人が死を最も恐れない民族であり、欧米人は中くらい、一番死を恐れるのは日本人であることがわかりました。
なぜそうなるのか。ギャラップ社が行った国際的な世論調査によると(藤田さんが原稿を書いたのが2000年ですから、かなり古い調査です)、死後の世界を信じる人が米国で67%、豪州で43%を占めるのに対し、日本では18%しかいないのです。つまり、来世を信じない日本人は死への不安も強いと考えられます。