――チームには個性が必要

宇野:プロ野球は客を“魅せるもの”があれば、何でも良い。例えば、ダヤン・ビシエドの1年目、16年の開幕から3試合連続本塁打など打って、一時客が増えた。またソフトバンクは強いだけでなく、個性溢れる選手がどんどん出る。周東佑京の足、甲斐(拓也)キャノン、柳田悠岐の本塁打……。個性が出ればチームの実力だけでなく、人気も上がる。

――絶対的に必要なのは本塁打

宇野:ナゴヤドームは広く外野スタンドが遠く感じる。まぁナゴヤ球場が狭過ぎたというのもある。それでも中日は本塁打が少な過ぎる(20年のチーム本塁打は70本でリーグ最低。1位は巨人、DeNAの135本)。ファンも本塁打を見たいはず。得点力も上がるし逆転試合も増える。現役時代はナゴヤ球場の右中間、スコアボード下辺りに本塁打を打つことも多かった。中日の応援席だから、『宇野のホームランボールが欲しくてそこにしか座らなかった』という話を聞いて嬉しかった。そういうファンは、今もたくさんいるはず。

――ナゴヤ球場時代の“ヤジ”についての思い出

宇野:ナゴヤ球場はファウルゾーンが狭くて客が近くに感じる。グラウンド上に熱気もビンビン伝わって来るし、当然、声援やヤジもはっきり聞こえる。俺の場合はヤジを受けやすいタイプだったから、結構ヤジられた。いろいろなヤジがあったよ。ストレートに『何やってんだ辞めちまえ』もあったし、笑える感じのものもあった。打てなかったりミスしたりして言われるのは、納得していた。でも練習中におちょくられるとムカッと来た。『おーい、今何やってんだって?』って笑いながらバカにする。頭に来て、客の前のファンスへボールを投げつけたりした。今やったら大問題だろうけどね。

――夜の名古屋の街では……

宇野:プライベートで食事をしていると、いろいろ言われることも多かった。面と向かってではないけど、ヒソヒソ聞こえるように言われた。大阪なんかは直接言われることも多いらしいけどね。勝負の世界だからしょうがないが、やはり気まずい。食事を切り上げたりしたこともあった。調子が良い時は、話しかけてくる人は多かった。みんな中日のことよく知ってるから、嬉しいんだろうね。でも奢ってもらうようなことはなかった。人と話すのは好きだし、よほど時間がない時以外は対応していた。球場外では普通のおじさんだったよ。

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